ヨガの最終目的は、心と体をひとつに繋げることで、乱れた感情を制御すること、コントロールすることです。
では怒りは、どうして起きるのでしょうか?
怒りの正体
怒りの感情は、人間の防衛本能であり、自分を守るための感情です。
そして、自分自身の欲望から生まれます。
自分が思っていた結果と違ったことが起きた時に、相手やその対象に腹が立ちます。
人に言われた内容で腹が立ったり、思ってもないことを言われると腹が立ちます。
自分の思いと違う答えになった時に、腹が立つ。つまり、「こうあるべきだ」という自分の思い込みや、決めつけであったり、「こうして欲しい」という自分の欲望が叶わなかった時に人は腹がたちます。
怒りは自分自身の中で生まれるものであって、相手には関係の無いことなのです。
執着からの欲望
バガヴァッド・ギーターによると「人が感覚の対象を思い巡らす時、それらへの執着から欲望が生じ、欲望から怒りが生じる」(第2章62節)とあります。
人の五感、目、耳、鼻、口、肌、と言うように、それらの感覚の素敵なものに執着します。
美味しいものを食べたり、可愛くて綺麗なものを手に入れた時は、嬉しい気持ちになります。
年齢や価値観によって違いがありますが、人は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を満たして幸福感を得ています。
人は執着しているものが、違う結果となることを受け入れられません。変化するものが変化してしまうと怒り、不変的なものが変化することで怒ります。
その怒りの矛先を理解した上で、自分自身のその時の感情や、身体の変化に気づいてあげることがとても大切です。
怒りという人間の防衛本能を抑えることは、不可能です。仕方の無いことです。
なので、ヨガインストラクターをやっている人も、もちろん怒ります。笑
日々自分の内側に意識を向ける訓練をしていることで、自分自身を内観する力がついてきます。
自分のその時の感情にすぐに気づけるようになり、怒った時に、呼吸が荒くなっていたり、身体が熱くなっていることに気づいて、眺めてあげる。そこで、どうするかを判断したり、自分の感情をコントロールします。
怒りの感情は抑えなくて良い
先ほど話したように、人間誰しも怒りの感情はあるのが当然です。その感情を無理に抑えようとしなくてもいいのです。
喜びや悲しみなどといった感情が湧いてくるのは当然のことで、その感情に支配されて身を委ねてしまうことは、ヨガ哲学的にはよくないことだという教えです。
まずは常に自分の感情に気づき、それを感情的ではない方法で表現したり、相手に伝えることが大切なのです。
ヨガ八支則にある「アヒンサ(暴力をしてはいけない)」にもあるように、
行動、言葉、思考でさえも他者に暴力をふるってはいけない。
誰に対しても怒りを抱かないこと。もとの語源は、”苦痛を引き起こさないこと”。
相手や自分自身を大切にしましょう。とあります。
自分の感情と上手に付き合っていく
怒りや悲しみ、喜びなどの感情は誰にでもあり、あって当然のことでとても大切な感情です。
怒りの感情から、今まで見えなかった自分に気づくこともあるかと思います。
まずは自分の感情に気づくことで、その感情とどう付き合っていくか、そして人とコミュニケーションをとる中で、相手にどう伝えるかでも変化します。
「アヒンサ」を守り、感情に振り回されないように、上手く付き合っていきましょう。
yoga&pilatesラポール代表
imazero編集長
串 貴代加